大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

注目を集める「キャリア形成促進助成金」

4月から制度改正

キャリア形成促進助成金制度とは、企業内における労働者のキャリア形成の効果的な促進のため、その雇用する労働者を対象として、目標が明確化された職業訓練や職業能力評価の実施、またキャリア・コンサルティングの機会の確保を行う事業主に対して助成される制度です。
2008年度4月よりこの制度が改正され、にわかに注目を集めています。

 

助成率の引上げと対象者の拡充

今回の改正の主な目的は、職業訓練等を実施するにあたり費用面の負担が大きい中小企業に対する支援の強化、および職業能力形成機会に恵まれない者を新たに有期雇用に雇い入れ有期実習型による組合せ訓練を実施する事業主への支援です。
まず、専門的な訓練への助成率が3分の1から2分の1(中小企業)へと引き上げられました。併せて、認定実習併用職業訓練への助成率も中小企業が3分の1から2分の1、大企業は4分の1から3分の1へと、それぞれ引き上げられました。
対象者も拡充され、短時間等労働者への訓練に対する助成および認定実習併用職業訓練に対する助成について、それぞれ、雇用保険被保険者だけでなくこれから雇用保険者になろうとする者もその範囲となりました。
また、新たな制度として、正社員になるには当該有期実習型訓練を受講することが適切であり、職業能力形成機会に恵まれなかった者として、キャリア・コンサルタントが認めた者を対象とした有期実習型訓練に対する助成も実施されることとなりました。

 

活用のための注意点

上記の助成金制度を活用するためには、様々な条件を満たしている必要があります。代表的なものとしては、「雇用保険の適用事業主であること」、「職業能力開発推進者を選任・届出していること」、「労働組合等の意見を聴いて計画を作成し労働者に周知していること」「過去2年間の労働保険料滞納や過去3年間の助成金の不正受給がないこと」等があります。
また、「職業能力開発休暇を与える場合は、その期間中に労働協約または就業規則に定めた賃金を支払っていること」や「事業主命令による職業訓練については、通常の賃金を支払っていること」も定められています。短時間労働者に対する訓練では「正社員への転換を行うこと」も条件となります。
訓練内容に関しては、あくまでも労働者個人のキャリア形成促進に役立つものが対象です。一般的なマナー研修や新入社員研修、またOJTで実施するもの等は対象になりませんので注意が必要です。