大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

継続審議となっている労働関係の法案

2つの重要法案が継続審議に

通常国会が6月21日に閉会となりましたが、そこで提出されていた「改正労働基準法案」、「改正障害者雇用促進法案」は成立せずに、継続審議となっています。
この2つの重要法案は、秋の臨時国会に提出され審議されると思われますので、改めてその内容を確認しておきたいと思います。

 

改正労働基準法案の内容(1)

この改正案における大きな柱は、何といっても「月の時間外労働が一定の時間を超えた場合の割増率のアップ」です。
月の時間外労働時間が45時間を超え80時間までの場合の割増賃金率については2割5分以上の率で労使協定で定める率とし(努力義務)、80時間を超えた場合の割増賃金については5割増とする、というのがその内容です。
なお、上記の「80時間」の部分については、「60時間」に修正されるような動きもありますので、注目しておくべきでしょう。

 

改正労働基準法案の内容(2)

改正労働基準法案のもう1つの柱は、「年次有給休暇の時間単位での取得」です。
現在、有給休暇については、最低取得単位が原則として「1日」とされていますが、時間単位で細かく取得できるようにして、近年落ち込んでいる有給休暇の取得率アップにつなげるのがねらいです。また、細かい単位で取得できることが子育て支援につながるという考えもあります。
なお、この改正内容については、労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、時間単位で有給休暇を与える労働者の範囲、時間を単位として与えることができる有給休暇の日数(5日以内)などを定めることとされています。

 

改正障害者雇用促進法案の内容

現在は障害者の雇用者数が法定雇用率(1.8%)に満たない従業員「301人以上」の企業に課されている納付金の支払義務について、順次「201人以上」、「101人以上」の企業へ拡大するということがこの改正案の大きな内容です。
また、障害者雇用義務の対象労働者に、「短時間労働者」(週の労働時間が20時間以上30時間未満)も追加されることも盛り込まれています。
なお、この改正案は2009年4月1日施行予定ですが、納付金支払義務が課される企業の拡大については、「201人以上」へは2010年7月、「101人以上」へは2015年7月とされています。