大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

厚生年金・健康保険の未加入事業所が10万超に

前年同時期と比べて約3,000カ所増加

厚生年金や健康保険に加入義務があるのに加入していない事業所が、今年3月末の時点で約10万カ所(前年同時期比約3,000カ所増)あることが、社会保険庁の調べで判明しました。未加入のままでは、従業員が将来年金を受け取ることができなかったり、医療費の自己負担額が増えたりするおそれがあります。

 

未加入事業所の実態は?

今回、社会保険庁が雇用保険などのデータをもとに、未加入が疑われる事業所を抽出して調べたところ、3月末時点で10万470カ所が政府管掌健康保険に未加入でした。そのほとんどが厚生年金保険にも未加入です。従業員規模が小さいほど未加入の事業所が多い傾向がみられ、未加入事業所のうち、従業員数が5人未満の事業所は約8万2,000カ所、5〜9人の事業所は1万4,000カ所と、大半を占めました。
なお、2007年3月末に政管健保と厚生年金に未加入とされたのは約9万7,000カ所でした。1年間でこのうち2万4,000カ所が加入するなどして、未加入は約7万3,000カ所になったのですが、今回の調査で新たに約2万7,000カ所が未加入であることが判明し、未加入事業所は差し引き3,000カ所増えています。

 

未加入をなくすためには調査・把握が必要

社会保険庁が未加入事業所対策に力を入れ始めたのは、2004年度以降のことで、それ以前は実態の調査も行わず、加入の呼びかけにも消極的でした。現在は、まずは文書や電話で加入を促し、従わない場合には社会保険事務所への呼出しや戸別訪問で加入を求めています。それでも応じなければ、従業員数が多い事業所から順に、職権による立入り検査で強制加入手続に移ります。
中小企業には、新規開業や廃業、休眠会社も多いため、実態を十分に把握するのは困難です。また、今回の調査で把握できなかったものも含めれば、相当多くの未加入事業所があることも予想されます。
今後、加入率を上げられるかどうかは不透明です。2007年度に強制加入手続で加入したのは73カ所(被保険者数483人)であり、今後の加入促進策による加入率上昇が期待されます。まずは未加入事業所の徹底的な調査と把握、そしてその後の粘り強い働きかけが必要でしょう。