大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

広がりをみせる「在宅勤務制度」の導入状況

テレワーク(在宅勤務制度)利用者は3年で65%増

テレワークの利用者(ITを活用して、場所と時間を自由に使った柔軟な働き方を週8時間以上利用する人)の数は、2002年には408万人(雇用型:311万人、自営型:97万人)でしたが、2005年には674万人(雇用型:506万人、自営型:168万人)となり、3年で約65%増加しています(国土交通省・社団法人日本テレワーク協会調べ)。
政府は、「テレワーク推進に関する関係省庁連絡会議」を設置し、昨年5月には「テレワーク人口倍増アクションプラン」を発表するなど、力を入れ始めています。2010年までには2005年比でテレワーク人口比率を倍増させ、就業者人口に占める割合を2割程度にしたい考えです。

 

テレワーク活用のメリット

テレワーク活用のねらい・メリットとして、政府は以下のことを挙げています。
(1)「ワーク・ライフ・バランス」社会の実現
(2)次世代を担う子供を育てる環境の実現
(3)人口構造激変時代の企業活力・国際競争力の確保
(4)場所にとらわれない就労・起業による地域活性化
(5)交通代替によるCO2の削減

 

中央省庁や大手民間企業の取組み

特許庁は、2009年度から在宅勤務制度を導入する方針を明らかにしました。対象者は特許審査を担当する審査官などで、併せてフレックスタイム制の導入も検討するとしています。中央省庁では、すでに総務省などでも在宅勤務制度を採用しています。
民間企業でも大手企業を中心に、導入(または検討)されています。NECは、通信回線を使って在宅勤務を可能にするテレワークの全社的な導入について検討すると今春に発表しました。有能な人材が不足気味のIT業界において、仕事と育児・家事などのバランスが取れるように配慮して、将来的な人材確保につなげるのがねらいのようです。NTT東日本でも、在宅勤務制度の全社導入を検討しています。今年5月に在宅勤務のトライアルを開始し、約200名が応募したそうです。制度の詳細は、検証結果に基づいて決定していくようです。

 

「在宅勤務ガイドライン」を改訂

厚生労働省は今年7月下旬に、「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成16年3月発表)を改訂しました。在宅勤務の普及に伴い、より詳細な解釈が求められている状況に対応するものであり、「労働基準関係法令の適用及びその注意点」などが盛り込まれています。導入を検討している企業にとって注目すべきガイドラインです。