大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

駐車違反の反則金を「社員の自己負担」にできる?

営業マンが駐車違反

営業マンが社用車での営業中に駐車違反で摘発されてしまいました。その会社では"経費節減"と称し駐車料金を支給していないため、やむなく路上駐車したのです。「反則金は自分で払うように」と上司はこの営業マンに言いましたが、問題はないのでしょうか。

 

改正道路交通法のポイント

改正道路交通法の施行により、2006年6月から駐車違反取締りの民間委託が始まり、同時に短時間の放置車両も摘発対象となりました。短時間駐車を繰り返す営業車の違反が取り締まられるケースも増えているようです。また、介護ヘルパーや訪問看護師などが利用者を車で訪ねた際に、駐車許可証を掲示していたにもかかわらず厳しく取り締まられてしまうケースなども増加しているようです。
上記改正では、単なる取締りの強化だけでなく、放置車両における「使用者責任」の拡充も大きなポイントとなっています。違反を摘発しても運転者が出頭せず、車両所有者の会社も「誰が運転していたかわからない」などと釈明する例が増えていました。このため、いわゆる「逃げ得」をなくすために、運転者が出頭しない場合、使用者に放置違反金の支払いを課すことになったのです。
上記の例の場合、運転手である営業マンが出頭しなければ会社に放置違反金が課され、その支払いを拒めば当該車両の車検が受けられなくなります。

 

問われる企業の使用者責任

企業は、民法の規定により、従業員に対する使用者責任を負っています。すなわち、従業員が不法行為をしないように指導する義務と、不法行為があった場合に代わりに責任を負う義務があるのです。
違法駐車の場合、本来は運転者に支払義務がありますが、上記の例の場合、会社が駐車料金を支給していないため、運転者の不法行為を助長していたとも言えます。また、従業員に駐車場代を負担させていたこと自体も問題と言えます。会社が仕事に必要な措置を講じていなかったと解釈できるからです。この場合は、会社が反則金の一部ないし全額を負担しなければならない可能性が高くなってきます。
上記の例では、会社が反則金を負担し、そのうえで従業員が違法駐車をしないように駐車場を確保したり、駐車料金を支給したりする仕組みが求められるでしょう。従業員が違反しないルール作りをすることこそが、会社に求められていると言えるのではないでしょうか。