フレックスタイム制の解説

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、1か月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業、終業の時刻を自ら決めて働くことで、仕事と生活の調和を図りながら、効率よく働くことができる制度です。

フレックスタイム制の要件

就業規則の規定

フレックスタイム制を導入する場合、次の規定を就業規則に設けます。

  • 始業終業の時刻を労働者の決定に委ねること
  • コアタイム・フレキシブルタイム

 

労使協定の内容

フレックスタイム制を導入する場合、次の内容を労使間で協定します。

  • フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲
  • 清算期間(1か月以内の期間)
  • 清算期間中の総所定労働時間
  • 標準となる1日の労働時間
  • コアタイムを設ける場合はその開始と終了の時刻
  • フレキシブルタイムを設ける場合はその開始と終了の時刻

フレックスタイム制の時間外労働

フレックスタイム制を採用した場合の時間外労働は、1日または1週間で見るのではなく、清算期間を通算して法定労働時間の総枠を超えた時間を時間外労働とします。
したがって36協定も、1日について延長できる時間を協定する必要はなく、清算期間を通算して時間外労働をさせることができる時間を協定すれば足ります。

実際の労働時間が総所定労働時間を超えた場合

フレックスタイム制を採用した場合、清算期間における総所定労働時間を労働するのが原則ですが、実際は総所定労働時間を超える場合があります。
この場合に総所定労働時間を超えた労働時間分を次の清算期間の総所定労働時間を減らすことでその超えた時間の賃金を支払わなくてよいかということが問題になります。
しかし、賃金の全額払いの原則からいきますと、その清算期間の賃金が支払われないことになりますので、これはできません。

実際の労働時間が総所定労働時間を下回った場合

逆に実労働時間が総所定労働時間を下回った場合はどうでしょう。
この場合に総労働時間分の賃金を支払い、総所定労働時間を下回った時間を次の清算期間の総所定労働時間に加算して労働させることは、賃金の先払いと考えられますので可能です。
ただし、次の清算期間に加算したために、法定労働時間を超える場合は36協定の締結と割増賃金の支払いが必要になります。

フレックスタイム制を採用した場合の休憩時間

フレックスタイム制を採用した場合も、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。
また、一斉休憩が必要な事業場においては、コアタイムに与えなければなりません。